My place to stay
幼かった私は
どうしても

逃げたかった…

どうしても
田舎のお婆ちゃん
の家に帰りたかった。

私は母親がパチンコに
行っている隙を狙って
カギの閉まっている

ガラスの引き戸を空けた。

昼間の人通りを
歩き回った。

途中でお巡りさんに
話しかけられた。

どうしたの?

お母さんは?
お家は?

私は必死に説明する。

アッチ…あっち。
に行くの。

子供の足では到底
無理な距離…

お婆ちゃんの家を
必死に指さしながら。

お巡りさんは困った
顔をしていた。

残念な事にパチンコ帰りの母親に見つかってしまった。

抱っこをされながら渋々
帰るしかなかった…

それから…
数ヶ月後。

私は母親の元から
助け出された。

心配して何度か親戚の
人が電話をしてきたり。
訪ねたりした。

私を親戚に
会わせようとしない事に
疑問を持ち始め…

母親が留守の間に
私にカギを開けさせ
連れ出してくれたのだ。

凄く。
怖かった…
カギを開ける事は。

日頃から誰か来ても
開けてはダメと言われて
いたから。

親戚の人の開けても
絶対に大丈夫だから
という言葉に私は解放
された…

扉を開けた瞬間
親戚の人達が立って
いた…

私の姿を見るなり
泣き出していた…

そう私の
顔はアザだらけ

服は胸元から
赤く染まっていたから…

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