千景くんは幼なじみ
「あのさー…ケータイ、なってる」

部屋の入口を見ると、少し開いた扉の外から寿太郎くんの声が聞こえた。

開いてるのに…

覗かない所がまた寿太郎くんらしい。





「やった!千景くんじゃね?ドキドキすんなーもぉっ」

穂積は、私のベッドに転がって大の字で手足をバタバタやってる。

「ちょっと…下降りてくるね。穂積、そのCD聞いてていーよ」






部屋を出ると、遠慮がちな表情をした寿太郎くんが突っ立っていた。

「あ、部屋ん中…見てねぇから」

「わかってるよ!別に、見ていーよ」

寿太郎くんをその場に残し、階段を降りる。







リビングに置いたままだった携帯を見ると、

ちーちゃんからの着信だった。

…この電話にかかってくるのも

久々かも。






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