千景くんは幼なじみ
「私…帰る」

穂積はベッドから立ち上がって、部屋を出て行こーとする。

ま…マズい。

穂積怒ってるよねぇ!?

だって、男に見られるのも長所だって言ってたのに。

好きな人にあんな言い方されたら…

いくら穂積でも、プライドズタズタだよね。





「穂積っ」

「結愛、今日はここでいい。私ら帰るわ…じゃーな」





穂積はそう言って、私の部屋の扉を勢い良く閉めてしまった。

階段をおりる音が、静かに聞こえてくる。





穂積を追いかけようとしたけど、ちーちゃんはまだ腕から手を離してはくれなかった。

「ちょっと…ちーちゃん、離してよぉ。穂積が…」

「今日はここでいいつったん聞こえんかった?」

「聞こえたけどっ…」

「なら、ほっとけ」






ちーちゃんは、私の手を掴んだまま…イスから立ち上がる。

「結~愛、どうだった?オレの演奏」

「あんなの演奏って言わないよ。ヘタっぴじゃん。耳痛い~」

残った片手で、自分の耳を塞ぐ。

そしたらその手に、ちーちゃんが触れた…。



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