千景くんは幼なじみ
「ゆっ…結愛ちゃん、おはよっ。…はぁ!しんどい~、穂積…早いっ」

和奏くんは、私の前で立ち止まって、肩を上下している。

…一体どっからそんなに全速力で走って来たんだろー。

「和奏くん、オハヨ。ねぇ…どしたの、穂積のアレ」

あまりの変わりように、きっとクラスのみんなもびっくりだよー?




和奏くんが顔を上げ、はふっと大きく息を吐く。

「はぁっ!穂積、昨日泣きながら帰って来たよ?あの穂積がわんわん泣いてんだもん…。びっくりしたよぉ」

…穂積、泣いてたんだ。

だよね。ちーちゃんにあんな言い方されたら、傷つく。

私だって…昨日は泣きたかった。

「あの…。うちの隣の子がね、ちょっと穂積にひどい事を…」

「あぁ…千景くんね。穂積の事、オトコかオンナかわかんない、オマケにオトコって言ったみたいだねぇー」

プンプン怒りながら言うかと思いきや、和奏くんは意外に落ち着いた表情をしていた。



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