千景くんは幼なじみ
「えーだって、モテねぇじゃん。甲子園でも出れば別だけどさ、汗だくんなって夏場授業中とかサイアクだぜー。

練習もキツかったしさ、彼女できても遊ぶ時間すらねぇし。高校はラクだけど、注目度低いっつーか。何で野球なんかやってたんか、自分でもナゾ…」

瀬尾くんはそこまで話すと、教室の中を振り返る。

どうやら友達が、彼を呼んでいるよーだった。

「…行けば?」

穂積は瀬尾くんにそう言うと、呆れた顔をする。

「おう。じゃ、気が向いたら来てな。いつでも歓迎するし。あ、里田はいらねー」

瀬尾くんは、私を見てニッと笑うと、この場を立ち去った。

「…しょーもねぇヤツ」

穂積はボソッとそう言うと、一人で先に歩き出してしまう。


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