千景くんは幼なじみ
私…泣いてたんだ。

自分で涙をぬぐう。






でもこぼれ落ちたのは、和奏くんが拭ってくれたその一滴だけだったみたいで、

私の指は…乾いたままだった。

「バカみたい、だよね。何で年下に振り回されてるんだろぉ」

「まあねー。千景くん、結愛ちゃん好きなくせして何であーゆうコトするかなぁ?素直に付き合えばいーのに」

和奏くんが私の頭に手を置き、ナデナデしてくれる。

「えっ?…和奏くんもそう思った?」

「思うっていうかぁー。アレはそーでしょ。じゃなきゃ、他の子ととっくに付き合ってんでしょ。千景くんモテるみたいだしー」

…そっか。

そう、だよね?

そういうコトしたいなら…別に私にこだわる必要ないし。

でも…初めてを、私に限定してくれてるとしたら…。

何か希望の光が見えてきた!

「結愛ちゃん、穂積がまた今日泣いてた…」

「…えっ?」

和奏くんは私の髪に指を絡ませて、クルクル回して遊んでる。




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