千景くんは幼なじみ
「…寿太郎くん、ランニング中なんだよね。みんな行っちゃったよ?」

寿太郎くんが私に気を取られている間に、部員さんたちはニヤニヤしながら寿太郎くんを置いて、そのまま走って行った。

「あ…うん。すぐ追いつくし。今は一年だけで走ってるから、先輩もいねーし大丈夫…。

それよりっ!も…もしかして、オレに会いに?」

期待の眼差しで、頬を赤らめる寿太郎くん。

それは…

ちーちゃんに好意を寄せる、いつもの穂積を彷彿とさせた。








「ち…違うよ。ただ、近く通ったから…」

苦し紛れの言い訳。

うちとこの学校、そんな近くないし。

…何て言えば。

目を泳がせていると、寿太郎くんの方からこう言ってくれた。

「あぁ…穂積が言ってたな。この近くに、結愛の好きな雑貨屋があるって…。え…と何だっけ」

「ng?」

「あー、ソレ!そこ行ってたんだ」

「あ…うん!そーなの」

ここから近いわけじゃないけど、とりあえずそーいうコトにしておこー。





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