千景くんは幼なじみ
和奏くんは、にっこり笑っていた。

もしかして、今日が練習試合だって知ってたのかな?




丸ちゃんは私たちを残し、練習に戻って行った。

その後ろ姿を切なく見つめる彼女たち。

この中に…

寿太郎ファンは何人いるんだろーね。

怖いよ、私に敵対心むき出しにする子もいるだろーなぁ。

仲良くなった方が、ラクな気がするんだけど…。

チラと和奏くんを見ると、また私の手を引き、彼女たちの列をすり抜け、野球部メンバーから少し離れた場所までやってくる。





和奏くんは、グラウンドを背に金網にもたれると、私を軽く見下ろす。

「じゃー、オレ帰るね」

「えっ!困る~っ。私一人でこんな所にいられないよぉ…」

「だってさ、オレが練習見てんの変じゃん」

「そんな事ないっ!ね、一緒にいてぇ。お願い」

「結愛ちゃん、これも千景くんに近づくためだよ?今日1日我慢してー。明日からは、10分だけでいいから」

あ…明日も来るの?



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