千景くんは幼なじみ
あんなに遅くまで、毎日練習も頑張ってたもんね。

しかも、今や身なりに気をつかうちーちゃんが、坊主だもん。

瀬尾くんは、野球やってた事ナゾだって言ってたけど、

ちーちゃんは…頑張ってたし、やっぱり野球が好きだったんだ。

…その試合、私も見に行きたかったなぁ。




しかも、ちーちゃんの方から話しかけたんだ…。

あれ、だけど寿太郎くんの事嫌いって言ってたよね。

「千景くん…怒ってなかった?」

何か言いたげに、和奏くんはグラウンドに向けていた顔を、私の方へ向ける。

「ううん~。笑顔だったよ…」

「…笑顔?」

「ま、そんな話は…千景くんとうまくいったらいくらでも聞けるじゃん。

それよりさぁ。毎日練習見に来てるとぉ、だんだん10分じゃ物足りなくなるかもよ」

和奏くんは半分振り返ったまま、金網を掴んでいた手を離し、私に手を伸ばす。




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