千景くんは幼なじみ
「生田の野球部で目つけてた選手いた?その頃は応援してなかったの?」

何とかそれだけでも聞いてみよう…。

そしたら。

「えー、いないよぉ。第一生田はみんな弱いし、プロになりそーな子いないもん。しかもみんな、坊主だったしねー…」

残念そーな顔で言われてしまう。

そ…か。

やっぱりちーちゃんは、特に目立ってたワケじゃないんだー。

「あ、でも!」

「でも?」

「磐田と…一度だけ、競り合っていい試合した時ある!あの時里田くん、めちゃくちゃカッコ良かったぁ~」

あ…そぉなんだ。

そこでも目立ってたのは、寿太郎くんなんだ。

「へぇー」

「どっちも全然点取らせない試合で、エラーもないしね。ドキドキしたけど…結局、磐田が最後にホームラン打って、終了!

その日里田くん、絶好調だったんだ!ファーボールもなし、相手を一人も累に出さずに、ヒットだって一本も打たせなかったんだよ。

あれで、また更にファン増えたみたい」

…へぇ。

ルールはよくわからないけど、とにかくすごいんだって事は、さっきまでそっけなかった彼女が、目をキラキラさせて話しだした今の態度でよくわかる。


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