千景くんは幼なじみ
もしかして…触れて欲しくない?

野球をやらないのは、何か理由があるのかと思うぐらい

その一言は、ちーちゃんの笑顔を一気に崩した。

しかも、いつもフッと真顔になる時の表情とは…微妙に違ったんだ。




「野球は…やらない」

「やってみたらいいのに。ちーちゃん、野球好きだったんだよね?毎日頑張ってたし…」

そう言うと、ちーちゃんは私から手を離した。

「…寿太郎と一緒だったってコトはぁ、今日磐田に行ったワケ?」

「え…」

「見に行ったんだなー、練習…。ベッカクなんだよ、アイツらは。

オレらがどんだけやっても、全然追いつかねー」

「そ…そうかも知れないけど、別に甲子園目指さなくても。やってて楽しかったら、いいんじゃない」

「…だな。ごもっとも」

ちーちゃんは私から目を逸らし、窓の外を見つめた。

何か…嫌な事、思い出した?

あ、それか寿太郎くんに妬いちゃった?




< 252 / 460 >

この作品をシェア

pagetop