千景くんは幼なじみ
「…ありがとー。本当はね、誰にも言えなかった。私が引きずってたら…友達も辛いと思って」

それまで気丈に見えた梓も、フッと表情を和らげる。

「だよね…。好きな人、諦めるのって、辛いよね」

私はずっとちーちゃんを好きでいたわけだけど、

その思いを、急に断ち切らたとしたら

きっと…

ずっと立ち直れないよ。

今…ちーちゃんとは、不安定な仲だけど

それでもやっぱり、誰かにとられてしまうと思うと、それだけは絶対に嫌だって思ってしまう。

二人で話し合うのと、第三者が絡んでくるのとでは

気持ちの整理の仕方が、全く違うから。





二人で撫で合う姿は、

この場に人がいたら…とっても奇妙な姿に映ったと思う。

でも、

もしも周りに誰かがいたとしても

今の私は…

梓と二人だけの世界にハマっていた。








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