千景くんは幼なじみ
「逆にさ…すごく嬉しかった。オレなんか野球の話しかしないのに、結愛が笑う度に、楽しいんだなーって勝手に勘違いしたり」

「それは…本当に楽しかったから」

そう言うと、寿太郎くんは満足そうに笑った。

「そこ。結愛が無理してなさそーに見えたから。本当に嬉しかったんだ。

…だから、顔上げなよ」

…何でそんなに優しいの?

和奏くんに言われたとはいえ、ちーちゃんを手に入れる為に寿太郎くんを利用しようとした。

和奏くんが寿太郎くんに言ったかどうかはわからないけど、

ちーちゃんと付き合う日に練習見に行ったり、故意じゃないとはいえ、あぁやってファミレスで待つ形になったり。

それを…

こんな笑顔で許してくれる寿太郎くんって、

器の大きい人なんだな…って、思っちゃう。

結局、彼女とも…私のせいで別れる羽目になったワケですし?

そこも謝らなくっちゃね。

「寿太郎くん…今、彼女は?」

「へ?オレ?あぁー、いない」

寿太郎くんは、ヘヘッと恥ずかしそうに笑った。


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