千景くんは幼なじみ
中途半端な同情は、時に残酷。

そう…思っていたけど、

寿太郎くんに関しては、どうもそれは当てはまらないみたい。









ちーちゃん。

…どこ行ったんだろー。










寿太郎くんを案内しながら、校舎に近づく。

一階のトイレは、生瀬祭の絡みで…封鎖されていた。

なんだぁ。だから、ちーちゃん遅いんだ。

二階のトイレは、廊下の一番端。

ここから、かなり離れている。

もしかしたら、混んでるかもしれないし。うん…、男子の個室は少ないもんね?

私がそんな事を考えているとも知らず、ご機嫌な寿太郎くん。

「あのさ…。こんな事言ったら怒られるかもしんねぇけど」

「何?怒んないよー。寿太郎くん、突然ヘンな事言わないってわかってるし」

私もニコッとして、隣を歩く寿太郎くんを見上げる。

「こんな風に、また一緒に歩けると思ってなかった…。あ、誤解されそーだから言うけど、真中から奪いたいとか…そんなんじゃないから」

あはは…。

そんな真っ赤になって言われると、誤解しそうになるよ。

まだ私を、好きでいてくれてるのかなぁ。

嬉しいような、迷惑のような。よくわからない、複雑な気持ち。

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