千景くんは幼なじみ
恋の迷路
裏庭付近まで来ると、いつもと全く違う雰囲気。

あらゆる場所にテントが張られ、露店や呼び込みでごった返していた。

「賑やかだよなー。オレこーいうトコ大好き」

寿太郎くん、めちゃくちゃ嬉しそう。なーんか、その姿を見てカワイイと思ってしまう。

「私も。人ごみは嫌だけど、でも何かワクワクするよね」

「言えてる!えっと、迷路はどこだろなぁ?」

うちの制服だけじゃなく、裏庭には他校生の制服も多く見られた。

まだ迷路に入ってないのに、まるで迷路の中にいるみたい。ここがうちの学校じゃなかったら、迷ってるよ。

私の隣でキョロキョロしている寿太郎くん。今から門まで行けって言っても、戻れないんだろーな。

思わずくすっと笑うと、彼も私を見てニッと笑う。

「結愛、まだ…いいかな。ちょっと、あそこまで一緒に行って欲しい」

え?

寿太郎くんに促されて来た場所は。

迷子探し展望台。





迷路で迷った人を見つける為に、高い位置から迷路の中を見る事ができる場所が作られていた。

そこから迷路の中を見ていると、同じような場所でウロウロしている和奏くんを、見つけた。

「うわっ、和奏めっけ!」

ほんとだぁー。

和奏くん、いた。



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