千景くんは幼なじみ
どうして、そんなに人に優しくできるんだろう。

寿太郎くんは、やっぱり本当に心が綺麗なんだね。その笑顔の通り、真っ直ぐでピュア。

「…ありがと。もし、後で会えたら、千景くんと会話する時間つくるから」

「ん。じゃーな」





展望台から降りる寿太郎くんの背中を見送る。

はぁ…。やっぱ私、ダメ。

断れないし、優柔不断。優しい寿太郎くんについ甘えてしまった。

もし、寿太郎くんと一緒にいる所をちーちゃんに見られてたら…と思うと、ゾッとするよ。

展望台から辺りを見回すと…

意外な光景が目に入ってきた。









え…?





裏庭の横の部室前で、よく知った二人が言い合いをしている。

あれ…、どうして?





ちーちゃんが、梓と…。





さっき、知らないって言ってたよね。





ちーちゃんは梓の腕を掴み、梓はすごく困った顔をしている。




学校の隅にある部室の塊。下からだと人目を避けられるけど、ここからは丸見え。




うわ、急に不安になってきたよ。

梓…ちーちゃんと知り合いだった?

え、ちょっと待って。



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