千景くんは幼なじみ
どうしよう。

ちーちゃんと梓の所に…行かなきゃ。




あぁ、ダメだ。

足が動かない。

ペタンとその場に座り込み、展望台から動けなくなってしまう。





「大丈夫?高いトコ苦手?」

「え?あぁ…すみません」

近くにいた人が、腕を引っ張ってくれる。

見上げると…。

「うわっ!」

ぎゃ…。

私の腕を軽々と引っ張ってくれるのは、穂積だった。

思わず私から手を離す穂積。

それに合わせ、私はその場で思いっきり尻もちをついた。

いったぁー…。ひどいぃ。あんな位置からいきなり手ぇ離すなんて。

さすがに穂積も悪いと思ったみたいで、私に謝ってくれた。

「結愛、ゴメン」

ふてくされ、顔を背けたまま謝られても…ね。

かなり複雑。

「ううん、大丈夫だから」

でも、ホントに痛くって…立ち上がれない。

「ったくさー、さっさと立てって」

見かねた穂積が、私の腕をもう一度引っ張ってくれる。荒々しくされるかと思いきや、背中に手をあて、体を持ち上げるようにして私を立たせてくれた。

「ありがと…」

「…何やってんだよ、ココで。ち…千景くんと一緒じゃねぇの?」

穂積、かんでるし。

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