千景くんは幼なじみ

「…え?」

キョトンとする私に、目の前で歯を食いしばる穂積。

「何か引っ込みつかなくなって。サイテーだよな、あぁいうやり方。誰が見たって、結愛と千景くんの方がお似合いじゃん。だから、よけー悔しかった。このままだったら、結愛の性格からすると、二人は別れるんじゃないかとか、思ってた」

もしかしたらその通りになったかも。

ちーちゃんとかなりギクシャクしてたし。

複雑な気持ちで何も言えず黙っていると、穂積は私の手を自分の頬に軽くあてた。

「結愛、殴らないのわかって、こーいう事言う私もズルイだろ。結愛…ごめんな」

「私こそ、ごめんね!」

穂積、私を許してくれるんだね。

じゃぁ、私も穂積がした事、許してあげるよ。

パチン

「痛ぇっ!え、結愛!?」

「今まで穂積にやられた痛さ、このぐらいじゃないから。だって…本当に辛かったもん」

穂積が油断していた隙に、頬を軽く叩いたんだ。まさか私が手を出すと思っていなかった穂積は、目を見開きかなり驚いている。

「結愛~、ほんとにごめんっ!もっと、本気で叩いていーよ。な?気がすむまでっ」

穂積は私の手を引っ張り、さらに頬を軽くぺちぺち叩く。

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