千景くんは幼なじみ
あー、ダメ。

またさっき来た行き止まりだ。ドンツキに、うずまきが見えた。

肩を落とす私に、同じように迷路に迷ってる子もため息をつく。

たかが学校のお祭りなのに、誰よー!こんなに複雑な迷路作ったのは。





梓に電話しても出ないし、だんだん疲れてくる。

あーぁ。

穂積とは仲直りできたけど、今度は梓と気まずくなっちゃうかな。

あの二人は…合わなそーだな。

なんて考えながら、うずまきを背に壁にもたれ、疲れ果てていると…

展望台から誰かの声がした。






「結愛ーっ、何やってんだよ。まだ中にいんのかよーっ!」

うそ。

何で、ちーちゃんはもう抜けてるんですかーっ!?

私の小さい声なんて、ちーちゃんには届かない。きっと口をぱくぱくやって必死に酸素を欲しがる、金魚みたいに見えてるんだ。

「ばーか!どんくせーやつっ」

どんっ…。どーせ、私はどんくさいですよー。





ふてくされてると、ちーちゃんは続けてでっかい声で叫んだ。

さっき、寿太郎くんがあんなに大きな声を出しても、和奏くんは気付いてなかったよね。

だから、

ちーちゃんの声はかなり大きくって、きっと他のみんなにも聞こえてる…ハズ。


< 397 / 460 >

この作品をシェア

pagetop