千景くんは幼なじみ
二人だけの、甘い甘い時間が過ぎていく。

迷路にいる人にとっては、すごーく迷惑なバカップルなんだろーけど、

もう、目を閉じてしまったから

迷路に誰が来るかなんて、気にもならなくなっていた。

「結愛…」

ひゃあ。

やっぱり、深くなる?

開いた唇の隙間から、ちーちゃんが少し侵入してきた。

思わずビクッとなる私に、ゆっくりと唇を離すちーちゃん。

「ハイ、続きは後で」

へっ!?

ちーちゃんはニヒヒと笑うと、私のほっぺに軽くチュッてして

そのまま立ち上がった。

…あれぇー?

意外。

ちーちゃん、強引にこないんだ。

ちょっと拍子抜け。

くると思ったものが来ない事に…

不覚にも、物足りないって思ってしまった。

「今日めいっぱい楽しむって決めたしな。普段、ホントはもっと結愛と楽しみたいのに…

近所だと、親や知り合いとかに見られてる気ぃして」

「え…それで、いつもキョロキョロしてたの?」

「…そ。うちの親さぁ…すげー冷やかすんだって。デリカシーのかけらもねぇし。昔もな…」

昔?




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