千景くんは幼なじみ
「花火…」

「…え?」

学校のイベントとは思えないぐらい、たくさんの花火があがっていて

ちーちゃんの声が聞き取れない。

花火…って言った後の言葉をもう一度聞き返してみた。

彼はフッと笑うと…

私の耳を囲むように、片手を添える。そして、顔を近付けた。





「花火…」

うわ。

息が…かかって、ゾクゾクする。

ちーちゃんは、わかってやってるのか、少し肩をすくめた私を、片方の腕で引き寄せ、ギュッとした。

「は、花火が…何?」

顔が、ゆるむ。

積極的で、いつも以上に優しく微笑むちーちゃんにドキドキ。

「ん?帰ったら…、二人で花火しよっか」

「花火?えっ!ちーちゃん、何でいきなりーっ!?」

うわ。

今まで上がり続けていた花火が、ピタリと止んだ。

突然終わったせいで、めいっぱい叫んだ私の声が、教室に響く。

あぁ…私のばか。

「ぶっ…。そんな驚くかぁ?声、でかっ」

ちーちゃんは私から手を離すと、お腹抱えて笑ってる。

もぉ~、笑いすぎぃ。


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