千景くんは幼なじみ
「だってー…いきなり花火終わるんだもん。聞こえないかな?と思っておっきな声出したのにぃ」

「ばっちし聞こえた。隣のクラスまで聞こえたんじゃね?」

廊下を見るけど、誰も歩いてはなかった。

良かったぁ。

「もぉ。花火とか言うからぁ…」

「あぁー。何かさ、二人で花火したくなった」

「…打ち上げ?」

「いや、もっとかわいいヤツ」

ちーちゃんは、手に何かを持つフリしてゆらゆら揺らす。

手持ち花火ねぇ。うん、いーかも。

花火=花火大会だったけど、ちーちゃんと二人でする花火…すごく楽しそう!

「うん。じゃあ、早く帰ろ。花火、どこに売ってるかな。コンビニにもう出てるっけ…」

ちーちゃんの腕を取ると、逆にギュッと腕を掴まれた。




「…どうしたの?ちーちゃん」

切なく私を見つめるちーちゃん。

「もぉ…さ。卒業しねー?」

卒業?

キョトンとする私に対し…

笑っていたちーちゃんも、笑みを消す。



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