千景くんは幼なじみ
「もぉ…。すぐくっつきたがるよねー」

嬉しいけど、ちょっと反発。だって、ここでトロトロになっちゃったら、きっと千景の思うツボ。

「だって、くっつきたい」

ぎゅむと、もう少し力を入れて抱きしめてくる。

「ワタルくんに見つかったらどーする?あの子鋭そう。追いかけてきそーで怖い」

そう言っても、千景の腕がゆるむ事はなかった。

「大丈夫だろ、あいつその辺の気は利かせてくれるハズ。いつもそーだし」




千景の言葉に、耳がぴくっとなる私。

…いつもぉ?

その言葉に反応した私に、千景もマズイと思ったらしく、一瞬腕の力がゆるんだ。

バッと振り返り、彼を見上げる。

「ちょっとー。さっき梓に詳しく聞いたんだけどぉ。ナンパした日の話…」

「…げ」

「げ、じゃないよ!?もぉ~っ、最低っ!」

「何もしてねーって。ちょっと触っただけじゃんか」

「きゃーっ!本当にそーなんだ。最低~っ、ばかっ、たこっ」

「ってぇな~。叩くなって」

千景に腕を押さえられ、またいつものように身動きが取れなくなる。

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