千景くんは幼なじみ
うわ。ホントだ。

昔を思い出したら、つい…。

「ちーちゃんで、良くない?」

「…ヤだ」

そっか。さっき言われてから、頑張って千景って呼んでるけど

たまにフッと違和感が。

「千景…」

「それでよしっ!あ、玉落ちる」

千景の花火

今にも力尽きそう…。

見とれてると…。





「結愛、そっちのがヤバいし」

「…へ、私ぃ?」

「あ~っ、落ちる落ちるっ」

…もったいないっ。

自分の線香花火を見ると、今にも光の粒が、滴り落ちそうになっていた。

線香花火って、落ちた後が妙に寂しいんだよね。

ポト





呆気なく地に落ちた、私の花火。

「あ~あ。落ちちゃった」

「オレのはまだ踏ん張ってる」

千景の花火はまだチリチリと…小さく火花を散らし、耐えていた。

「ガキん時さ、この玉じっと見てたのはぁ…ずっとふてくされてた結愛が、この花火してる時だけ笑顔だったから」

「だって、浴衣が嫌だったの。スイカで手もベタベタだったし」

「そーなん?可愛いかったのにな」

ドキ

そんな事、思ってくれてたんだ。



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