千景くんは幼なじみ
「オレが笑わせても笑わね~のに、こんなちっぽけな玉のどこがいーんだ?って疑問だった。つまんねー花火だよなって」

「派手さはないけど、長く遊べるし…この、落ちそうで落ちない感じがいいんだよ」

「なるほどな…」

千景は私の手を取り、花火をそっと渡してくれる。

同時に、背中に優しく回される腕。

「私が持ってていいの?」

「いーよ。その代わり、玉落としたら結愛からキス!」

「えっ?そんなぁ、もう落ちるしっ」

ずる~い!

少し揺らしただけで、今にも落ちそうっ。

「嫌だったら、落ちる前にオレからするけど」

「どっちみち、したいんでしょー」

ったくぅ。

「どーする?落ちるぜ。いーち、にーい…」

やだっ、カウントダウンしないでよぉ。

どうしよう。落ちるっ。

「やっぱり、ちーちゃんからしてぇ」

そしたら花火の玉は…

下に落ちずに、棒の先にひっついたまま
、フッと消えた。


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