千景くんは幼なじみ
「里田穂積の弟、里田寿太郎くんだよね?」

「あ…、いや。まぁ…」

なんともまぁ歯切れの悪い。

穂積の弟とは思えない。





寿太郎くんは、私の顔を見たり見なかったり。

ヤバい女に捕まっちまったみたいな表情をし、首を傾げている。

「あの…」

そこまで言うと、手で制される。

「…ごめん、サインとかできないんで」

…へっ?








口あんぐり。

サインって、

…何?








「…サイン?」

目を大きく見開き、口をポカーンと開けた私を見て、彼の顔が急に真っ赤になる。

「いや…だから」

しどろもどろ。

…大丈夫か?このコ。





< 96 / 460 >

この作品をシェア

pagetop