千景くんは幼なじみ

「困ってんだよなー…最近ガッコーの周りに女子がたむろってて、サインくれって言われて…」

サインなんか、ねーし。ってボソッと言ってる。

他校の女子に…サイン。

「え、何で？」

キョトンとしてると、彼も不思議そうにしてる。

「何で…って、オレ有名だから」

ゆっ…

有名っ！？

思わず吹き出してしまう。

だって、自分で言うー？





昨日穂積に貸してもらった切り抜きを見ると、

寿太郎くんの事を絶賛してる記事もあったけど、所詮中学レベルでしょー？

高校野球でテレビに出たとかじゃないし、そこまで有名なのかなぁ。

「ちょっとぉ…自分で言わないでよー」

「いや…確かにそーだよな。有名っていうか、知られ過ぎというか…」

同じコトじゃん…。

「知られ過ぎって？」

「…自分もそーだと思うけど、高校野球が好きな女子ってすごいんだって。

一年でまだ試合出てないのに、オレん事よく知ってる」

はあ？

「何かよくわかんないけど、すごいんだ？穂積にスクラップは見せてもらったけどね」