長編小説番外編集
「かなめ……」
俺も、もう、限界だったのかもしれない。
すずの腕を掴み強く引き寄せる。
俺の腕の中に入り込んできたすずを、すかさずぎゅっと抱きしめる。
少し間を置いて、すずも俺の背中に手を回す。
……あぁ、安心する。
ほっとする。
心臓が程良く心拍数を早める。
あぁ、愛しい。
この腕の中に閉じ込めている、この女の子が愛しくてたまらない。
もっと思いっきりギュッと抱きしめたい。
でもそうしたら壊れてしまいそうで、そっと、でも強く抱きしめる。
どれくらい経っただろう?
長く長く、抱きしめ会っていたような気がする。
「すず」
「なに?」
「顔上げて」
ゆっくりと顔を上げた彼女に、キスをする。
額に、こめかみに、頬に、鼻に。
そして、口に――。