長編小説番外編集


「ただいま戻りました。あれ」


教室に戻ると、すずはソファーで寝ていた。


疲れているのか。

まぁそうだろう。


毎日人目を気にしながら自分を演じて、隙を作らない、かつ教師にも生徒にも注意深く見ている。

それも毎日。


想像もできないほど、疲れることだろう。

休む暇もないはずだ。


ただ、この教室は唯一Qとその下僕的な何かしか受け付けない場所。

校内で唯一、息抜きが出来る場所だ。


俺は毛布を取りに行き、すずにかけてやった。

このケーキ、どうするか。

とりあえず冷蔵庫に入れておいた。


教室に冷蔵庫があること自体おかしいが、理事長自らが設置してくれたものなので、ありがたく使わせてもらう。


……そうだ。

俺は閃いて、ソファーに座った。





そんなに時間もたたないうちに、すずは目を覚ました。


「お?お目覚めですか?」

「ウサギさ……。え?」

「ん?」

「な、な、な……」


すずはすぐに自分の状態を把握したらしい。


「なんで、なんで膝枕しているのよ!?」


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