長編小説番外編集
その子……当時私が威鶴を拾った時と同じ年だったトーマも、家出をして来たらしい。
似ている二人、でも、似ていない二人。
デジャブか。
トーマをパートナーにしたいと言い出した威鶴に、怒ったのは私ではなくて、パートナーだった女の子で。
彼女は威鶴に、恋をしてしまっていた、らしい。
恋愛関係も、BOMBの中では禁止。
人は恋をすると、相手を知りたがるものだし、プライベートでの接触も禁止だから。
怒った彼女は、BOMBをやめる事を覚悟の上で威鶴に告白し、フラれた。
威鶴がトーマをつれて来たその時、つまり私の目の前で告げられた言葉に、威鶴は一秒の間もなく『ムリ』と答えた。
あの時、『鬼だな……』なんて思った事は、今でも忘れない。
そしてすぐに女の子はBOMBを去り、変わりにトーマが威鶴のパートナーになった。
あの時の衝撃は今でも忘れない。
そして現在も、威鶴とトーマの関係は続いている。
何かが変わっているような、何も変わっていないような。