長編小説番外編集
「はい、義理チョコね!」
「……そう笑顔で言われると虚しくなんだけど」
「虚しくなっといた方が本命が現れた時に感動が増すかもよ?」
「……上から目線ウゼェ……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
いきなり謝りだした龍河くん、謎。
ただちょっと視線があたしの後ろを向いてるから……蓮?
振り向くと、いつもの笑顔の蓮。
「帰ろうか」
あたしの手を握って、校門へと向かう蓮。
繋いだ手から伝わる、あたたかな体温。
幸せな気分。
でも、どことなく今日は不機嫌に感じる。
「蓮?」
「なに?」
「……どうしたの?」
……、蓮は少し黙ってから、恐る恐る言った。
「……由衣がチョコレート、みんなに渡してたから……」