長編小説番外編集


「はい、義理チョコね!」

「……そう笑顔で言われると虚しくなんだけど」

「虚しくなっといた方が本命が現れた時に感動が増すかもよ?」

「……上から目線ウゼェ……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

いきなり謝りだした龍河くん、謎。

ただちょっと視線があたしの後ろを向いてるから……蓮?


振り向くと、いつもの笑顔の蓮。


「帰ろうか」


あたしの手を握って、校門へと向かう蓮。

繋いだ手から伝わる、あたたかな体温。

幸せな気分。

でも、どことなく今日は不機嫌に感じる。


「蓮?」

「なに?」

「……どうしたの?」


……、蓮は少し黙ってから、恐る恐る言った。


「……由衣がチョコレート、みんなに渡してたから……」
< 20 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop