長編小説番外編集
蓮が耳元で小さく呟いた言葉。
愛の言葉。
込み上げてくる、熱い何か。
ジワジワ、ジワジワ、体を侵食されていくような感覚。
これはきっと、喜びが容量を超えすぎたんだ。
嬉しすぎて、嬉しすぎて、体がウズウズする。
ギュッとしても、もっともっとギュッとしても、まだまだ足りない。
この気持ちを、蓮に伝えたくて、大好きなんだって、愛してるんだって、伝えたくて。
力を緩めて、そっとキスをした。
夕日が照らす影が、長く伸びる。
シルエットは、片側が爪先立ちしていて、ちょっぴり不格好だけど。
たくさんの愛を、この一つのキスにたくさん詰め込んで、彼に伝えた。
「愛してる」
バレンタイン/完