長編小説番外編集
未練-ミレン-
コンコンッ
ノックされた扉。
言葉も出したくない……。
「城那ちゃん?」
……妹の紅音だ……。
「……お母さんも心配してるよ?」
「……」
「……城那ちゃん?入るよ」
「まっ……!!」
ガチャリと開いた扉から、廊下から差し込む光を浴びて、真っ暗な部屋に入ってくる妹。
「理由だけでも話して。学校で何かあったの?いつも話してる五人組のこと?……失恋、とか……?」
……失恋?
そうなるのかな?
でもそれよりも、みんなから『追放』されたことが、なによりも……辛い。
もう、そばにすら行けないの?
TEARにも?
「……うぅっ」
再び涙がこみ上げてきた私の背中を、紅音は優しく撫でていてくれた。