長編小説番外編集
「お母さん」
「ん?」
「ありがとう……」
何も話せなくてごめんなさい。
心配してくれてありがとう。
「なに言ってるの?病人を放っておくわけないでしょ?当たり前」
そう言って、ご飯を作りに部屋を出て行ったお母さん。
また……涙が少しだけ流れた。
今は優しさに触れるとすぐに泣けてしまうみたい。
まだ鮮明に思い出してしまう、つい昨日の出来事。
本当に、現実?
この痛みは、苦しみは、夢であることを望んでる。
でも……現実、なんだろう。
ダメだ、何もしてないとずっと無限ループな回想。
なにかしなくちゃ。
勉強をした。
携帯ゲームをした。
絵を描いた。
歌を歌って……喉が……。