長編小説番外編集
私は……迷いながらも、ゆっくり頷いた。
「お姉ちゃんね、いつも話してる想、蛍都、辰、陽紀……漆、に……嫌われちゃったみたい」
「なんで?」
「なんでだろうね?勘違いされちゃったのかな?」
何かあの五人にとってよくないことを、私自身が持ってたのかな?
「五人にはね、特別な決まりがあったの」
「決まり?」
「信頼出来る人以外はね、女の子にはみんな敬語で話してるの。私は、信頼されたはずだったの」
「敬語じゃなくなったってこと?」
私はコクリと頷いた。
ちょっと……うるっと来てしまった。
ダメダメ、涙は我慢。
「特別な部類にいたはずなの……」
なのに、なんで……。
「辰……なんでなの……」
そう口からこぼれていたことに、自分で気付かなかった。