長編小説番外編集
「紅音の、一つ上なんだよね?」
「うん。有名だからすぐわかるよ」
わかっても、どうにも出来るはずがないけど……。
「話してくれてありがとう」
「ううん、聞いてくれてありがとう、紅音」
少しだけ、楽になった気がした。
次の日、学校ですでに噂が広まっていた。
『なぜか縁を切った』という噂だけ。
細かいことは、みんなも知らないらしかった。
少しだけ、『調子に乗ってるからこうなるんだ』という言葉と共にイジメられたりもしたけど、友達が助けてくれた。
私が悪いわけないって、かばってくれた。
だから、少しだけ強くなれた。
あの五人とすれ違っても会話をする事はなく、気付けば高校に入ってのんびり過ごしていた。
――まさか、その間も紅音が頑張っていたとは知らずに……。