長編小説番外編集


……うん。

戻れるものなら戻りたい。

漆への気持ちをなしにしても、あの五人と過ごした日々がとても楽しかったから……。


「それなら、あたしが事情を話せば分かってもらえて、もしかしたら城那ちゃんとまた会ってくれると思ったの」

「でも、そんなに簡単には……」

「だから……信頼されてから、辰さんを説得しようとしたの。だから辰さんに近付いた」


それって、もしかして……。


「でも……最期まで敬語だった。しかも、妹だって先にバレちゃって……あたしまで追放されちゃった……ごめんなさい……」

「ううん、私は大丈夫だけど、紅音こそ大丈夫?」

「城那ちゃんみたくヤワじゃないから大丈夫」


……紅音も、辛いはずなのに……。


「このままだと、たぶん希乃のことも調べられちゃう……もう知ってるかもしれないしね」

「いいよ、紅音」

「城那ちゃん?」

「もう……いいの」
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