長編小説番外編集


中央に行くと、その岩の真ん中に穴があり、水が出ていた。


「耳を澄ませて」


耳を……。


「水……水滴が落ちて、響いてる音がする」



次の瞬間、ふわりと後ろから彼に抱き締められた。


「水琴窪(すいこんくつ)といって、音を楽しむものなんですよ。ここは静かで、適していたのでしょう」

「さ、さっき蓮耶くんが言ってた、特殊って……」

「コレだけではないですけど、この公園全体が、普通の公園とは色々と違います。歴史を感じさせる、温かい公園ですよ」

背中から伝わるぬくもり。

前で組まれる腕……ん?


「コレ……」

「やっと気付きましたか」


蓮耶くんはプレゼント用に包んであるものを持っていた。

もしかして……。
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