幻妖涙歌
ある日、毎夜少女が彼のもとへ通っていたことが、少女の父親にばれてしまったのです。
夜、家を抜け出し森へ向かう少女を、父親は見てしまったのです。妖精の棲む森へ向かう娘を。そして、すべてを悟りました。
その話は、すぐに村中に広まりました。今までに何度も村人の命を奪った、妖精との禁忌の恋――赦されるはずは、ありませんでした。
誰もが少女を責めました。それは妖精への畏怖や憎悪の念であり――少女への、羨望や嫉妬でもありました。