帽子屋さん。


「そんなにお花がいるのですか?」

『うん、いぃっぱいがいい!』

丁寧に喋ろうとするのはやめたのだろうか。
その分、笑顔とジェスチャーが多くなる。

「それは、本物じゃないと駄目ですか?」

『うーん……あのね、みあちゃんはね、お花が大好きなんだ…』

みあちゃん…
彼の想い人でしょうかね。

「それなら、お花をあげた方が喜ぶのでは?」

『そうなんだけど…、みあちゃんのぼうし、ぼくがやぶっちゃったから…』

さっきまで笑顔だった少年が、今は必死に涙をこらえる。

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