帽子屋さん。



「葵くんと蒼くんを…、自分自身を、大切にしてあげてくださいね」

『……はい、有難う』

少し涙ぐんで言う。

『それじゃあ、また…次はお客として…』

「お友達としても、来てくださいね。お茶くらい出しますから」

『ふふ。有難う』

そう言って、店を後にする。

傷だらけの手首を服の上から優しくおさえながら。



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