クルースニク
第三章
夜空を見上げ、1人部屋で恋人が来るのを待っている。

不意に部屋の扉が開いた。

「亮君、久しぶり」

勿論扉を開けたのは俺の恋人、若宮麗子(ワカノミヤレイコ)。

二人並んでソファーに座る。

「亮君、、、また殺したでしょ?」

またバレてしまった。

以前、人を殺した時も同じ様に指摘された。

なんでも、人を殺した後は俺から血の臭いがするんがとか、、、。

「いい加減やめてよ!?私が居るじゃん」

「麗子だけじゃ自分の欲望がおさまらないんだ」

「でも、、、」

「麗子ッ、、、血。お願い、、、」

俺は麗子の言葉を遮る。



病院で血を抜く様に、俺は今、麗子の血を注射器で抜いている。

彼女から貰う血の量は10㎜ℓ程。

抜き取った恋人の血を注射器からグラスに移す。

ソムリエが口の中でワインを転がして味わう様に、俺も口の中で恋人の血を転がす。

不思議と生臭さは感じない。

それは鉄の味。

そしてほのかに、、、、甘い。

やはり恋人の血は格別だ。
< 9 / 26 >

この作品をシェア

pagetop