心も体も今すぐ壊して


ホテルの部屋では吐息だけが響き会話など一切ない。


ただ、抱き合って快楽を求めて
重みを感じているだけ。


繋がりながらキスをする。
亮はキスが好きみたい。
何をしていてもキスをしてる。




行為が終われば亮は必ず私の事を抱きしめてくれる。
温かい。すごく。
肌から肌へと伝わる体温。


だけど、体温は伝わっても
ただそれだけで愛はない。


私は颯斗の事も亮の事も
愛してはいない。
二人とするセックスが好きなだけ。




「…そろそろ帰るね。弟が待ってるから」




私は起き上がると、そそくさと服を着て鞄を手に取り微笑む。




「相変わらず冷たいなぁ……。本気で微笑んでないだろ」




亮は不満そうな顔をしてる。


すごく、不満そう。


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