漆黒の少女。
暗闇の中で
どうやら俺は息をしているらしい。

生涯、生きていれば沢山の良いことや悪いことに遭遇するのが人間の性だろう。
しかし、まれに特殊な出来事に遭遇することもあるらしい。

人気の少ない山道を車で走る。
何時間か車を走らせ、山を越えると廃墟が寂しげに建っているのが見えた。

恐らく、元は病院だったのだろう。
今は、その面影が少しだけ顔を出している程度だ。

その廃墟の規模の小ささからして市民病院だと思われる。

設置されている全ての窓ガラスは割れていて、かなり通気性が良さそうだ。

廃墟の周りには民家は無いことから推測すると経営難で潰れてしまったと、いうところだろう。

廃墟の中はソファーがそのまま放置されおり、埃が被っている。

廊下の壁に貼ってあるカレンダーを見つけた。

貼り付けてあるカレンダーは10年前の2000年の9月を示している。

さらに奥に進むと手術室のドアが異様な空気を漂わせ待ち構えていた。

手術室の中は手術台と数台の医療器具があるだけで殺風景な印象を受けた。

現在、俺は手術室の中にいる。

肝試しや心霊スポット巡りでこの廃墟に来たわけではない。

何故、何のために俺がこんな所に来たのかと疑問に思うだろう。

俺は多額の借金を作り、ヤミ金にまで手を出してしまい、ヤミ金の取り立てから逃亡したのが捕まってしまいこの廃墟に連れて込まれてしまったのだ。

手足の骨は折られてしまい身動きが取れない状態だ。
それだけなら、あり得なくもない体験だが、俺の場合は少し特殊なことに遭遇している。

そして今日で廃墟の手術室に閉じ込められて二週間目に差し掛かった。




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