漆黒の少女。
『エレファントマン』

実際に存在した人物だ。

ジョセフ・ケアリー・メリックはイングランドのレスターに生まれる。

生後21ヵ月の頃には身体に変形の兆しを見せはじめ、左腕などを除く皮膚、骨格の大部分が歪み膨張してしまい奇妙な身体付きになってしまったのだ。

メリックが11歳になった時に母を亡くしてしまう。症状の進行につれて仕事もままならなくなり、継母に疎まれて家を追われる。

叔父のもとを頼るが、異様な姿から行商もうまくいかず17歳で救貧院に入った。

21歳になったメリックは〝見世物興行〟に働き口を求めた。

〝見世物興行〟とは人間動物園みたいなもので奇妙な身体をしているメリックを民衆に曝して金を稼ぐ興行だ。
気持ちの良い職業ではないがかなりの金を稼いだらしいのだ。

売り込みのために「妊娠中の母親が象に踏まれかけたショックのため」などと宣伝された。

そこからメリックは〝エレファントマン〟と呼ばれるようになったのだ。

しかし、社会的に見世物小屋を排斥する風潮が強まるとロンドンを離れ、ヨーロッパを廻る興行に身を委ねざるをえなくなる。

数か月後には職を失って貯えも取り上げられてしまう。

それからブリュッセルからロンドンに辿り着いたところを、以前に診察を受けたことのある医師フレデリック・トリーヴスに保護されることになる。

その後、ロンドン病院で弱った身体を治療する。

そして、メリックは部屋をあてがうための寄付を募る投書すると広く同情を受け、やがてサレグザンドラ皇太子妃の訪問を受けるといった上流社会である種の名声を得るようになった。




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