漆黒の少女。
どうやら俺は息をしているらしい。

生涯、生きていれば沢山の良いことや悪いことに遭遇するのが人間の性だろう。
しかし、まれに特殊な出来事に遭遇することもあるらしい。




この姿になって二週間が過ぎ、解ったことがある。
俺を監視をするためにヤミ金の奴らは3日に一回のサイクルで廃墟に訪れることだ。

「どうやら、奴らは3日に一回のサイクルで俺の様子を見に来るらしい」

俺の正面にいる少女は口の中で飴玉を転がしている。この世にこれ以上の幸福は無いのだと言わんばかりの表情をしている。

「そうなると次に奴らがこの廃墟に訪れるのは明日ね」

少女は遠足を楽しみにしている幼児のようだ。

「君はちょっと変わっているよ、やっぱり」

「あら、お兄ちゃんも随分と変わり者だと思うけど」
その通りだ。普通の生活では遭遇することはない状況に違和感無く二人は溶け込んでいるのだ。

まるでB級ホラー映画の中にいるようだ。
映画には始まりと終わりが存在する、いい結末あれば最悪な結末もある。

今、俺と少女が参加しているストーリーにも必ず終わりがある。
いい結末か最悪な結末か、それは分からない。

そんなことを考えているうちに意識が途切れて眠りについた。




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