漆黒の少女。
俺を監視をするためにヤミ金の奴らは3日に一回のサイクルで廃墟に訪れる。

奴らは俺を見る度に薄気味悪そうに見るのだ。

お前らがこんなことをしたというのに怖がるのは少し違うのではないかと俺は思う。

でも、初めて今の俺を見る奴は化け物と勘違いするだろう。

そんなんだ、今の俺は普通じゃない。

俺は、〝手術室の壁の一部〟になってしまっているからだ。

決して自ら望んだわけでない。
ヤミ金の奴らの悪趣味な嫌がらせに付き合わせれただけだ。

手術室の壁を壊して窪みを作り、その窪みに俺の体を押し込んで、俺の体の上からセメントを注いで固められてしまったのだ。

見た目は壁から俺の顔だけが浮き出ている状態だ。

それはそれは不気味で仕方ないだろう。

ヤミ金の奴らは俺が生きているのを確認すると逃げるように廃墟を後にした。

俺は、ただ息をしている生物に変わり果ててしまっている。

もう早く死にたいのだが、思ったよりも人間の生命力は強いらしく俺の望みは叶いそうもなかった。

こんな俺でも人間としての理性を保って居られるのはある少女に出会ったからだ。

こんな姿になって4日目のことだった。

廊下の方から足音が聞こえて来たのだ。

最初はヤミ金の奴らだと思ったのだが、軽快なスキップをしているような足音を察知した時、ヤミ金の奴らではないのだと理解した。



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