漆黒の少女。
そんな事を考えていると少女はテーブルの上に転がっている物体にメスを向けた。

まずは手前のテーブルに転がっている物体から作業に取り掛かった。
両肩の付け根2センチ下の胸の辺りにメスを刺して円を描くように肉をくり貫いた。

メスを動かす度に細胞がぶちっと切れる音が聞こえた。
切り取った肉の厚さは約3センチだと思う。
贅肉が多いせいか深さ3センチ抜き取っても骨が見える程度だった。

両胸に穴が空いている状態になった。
更に両腕をもぎ取り、両胸の穴にねじ込んだ。

それからメスを太ももまで滑らして胸同様に肉をくり貫いた。
そして、太ももより少し下の膝上にメスを入れて両足を切り取り、太ももの穴にねじ込んだ。

両足、両腕の安定感は無いが犬の様に四足歩行の生き物に生まれ変わった。

少女はうっとりとした表情を浮かべて犬を頭を撫でている。

「よく頑張ったわね、もう痛いことはしないからね」

犬と生まれ変わった物体は人間の声とは程遠い鳴き声を放っている。

少女は犬の首に紐を結んで引きずるながら俺の目の前まで歩いてきた。

「見て!!私とお兄ちゃんのペットのキャリーよ!!可愛いでしょ」

と少女は瞳を輝かせて俺に訴えかけている。
〜pretty dog〜

「可愛いくは無いが前の姿よりは愛着があるね。あと俺達のペットでは無くて君だけのペットだよ」
〜NO!! strange dog〜

俺がそう伝えると少女は頬を大きく膨らませた。

「違うでしょ、私とお兄ちゃんのペットだよ。これから家族になるんだから!!」

「家族??」

「そうよ、家族よ!!私がママでお兄ちゃんがパパになるのよ。そして私達のペットがキャリーよ」

奇妙な家族が出来たものだと思っていると何故だか笑ってしまった。
〜dangerous family〜

そんな俺を見て少女も笑っている。

改めて分かった。


俺と少女は正気ではないということ。




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