Strawberry & Bitterlove
┣No.25.4 初恋~Y
何も言えなかった。
慰めの言葉すら、あいつには意味がないと思ったから。
俺が思っていた以上にあいつの心の殻は、傷は大きいものだったからだ。
あいつは俺と自分を同じだと言った。
確かにお互いを重ね合わせていたのは同じだろうが、決定的に違う部分がある。
俺の場合、由香は生きていた。
死の淵をさまよいながらも生きていてくれた。
けど、あいつは違う。
気づいた想いも告げることも出来ずに、長倉 知聡はこの世から去っていった。
どれだけ願っても、会うことはできない。
触れることはできない。
言葉を交わすこともできない。
俺は一体、あいつの為に何ができる?
どうしたらあいつの殻を割ることができる?
どうしたら…―。