―MEMORY―
僕を心配そうに見つめる人達。
……誰?
「大変だったわね……。本当に、よく生きて帰ってッ」
目の前の女性は、歓喜あまって涙を流していた。
誰……?
「娘との写真をまだ持っていたなんてな。本当に無事で良かった。きっと、あいつも喜んですぐに来るさ。」
娘?
写真?
無事?
喜ぶ?
……誰が?
わからない。
わからないよ。
勢いよく、病室の扉が開かれた。
そこには、着物を乱して息をきらす女の人が居た。
手を口に当て、喜んだように驚いていた。
そして、泣いていた。